リハビリテーション学科 作業療法学専攻
リハビリテーション学科
作業療法学専攻
Dept. of Rehabilitation / Occupational Therapy Course
人の心と身体を支えるスペシャリストとして
「普通の暮らし」の実現に向けて貢献し
日本の未来を担う人材を育成する

作業療法学専攻について

「普通の暮らし」の実現に寄り添う作業療法士。最新の設備がそろう充実した教育環境の中で、心と身体へアプローチできる作業療法士を育成します。

作業療法士とは

心と身体に障害のある人やそれが予想される人に、主体的に日常生活を送れるようリハビリテーションを行うスペシャリスト。家庭での日常的な動作から職場・学校・遊びなど社会的応用動作に至るまで、治療・指導・支援にあたります。

社会のニーズ

超高齢社会の到来により、医療保険や介護保険などの社会保障制度の整備、改革が進められています。このような背景の中で作業療法は、子どもから高齢者に至るまで、幅広い年齢層からのニーズがあります。また、病院で行われる急性期のリハビリテーション、回復期のリハビリテーション、さらには、在宅を中心とした維持期リハビリテーションにおいて、高齢者の寝たきり予防、健康寿命の延伸を目指した介護予防への取り組みなど、作業療法士の活動は幅広く行われており、大変注目されています。
作業療法専門科目の「身体障害領域」は、例えば、脳卒中や脊髄損傷という疾患では、手や足が動かし難くなるなど、身体の機能障害が起こります。手や足の機能を知るために、さまざまな検査やテスト方法があります。身体機能を回復させるための作業活動を用いた治療理論や支援を学びます。
「発達障害領域」は、例えば、脳性麻痺や知的能力障害などの子どもを対象として、心や身体の発達状態を知るための発達検査や観察の視点について学びます。子どものリハビリテーションでは、「遊ぶ」という活動を治療的に活用することも作業療法の技術です。子どもが発達学習していくための治療理論や支援を学びます。
「精神障害領域」は、例えば、統合失調症やうつ病、薬物依存症の方たちを対象として、社会適応のための支援方法について学びます。具体的には、生活技能を高めるためのコミュニケーション技法から就労に至るまで、様々な支援方法について学びます。
「老年期障害領域」は、主に高齢者に多い疾患である脳血管障害、パーキンソン病などの身体障害が人の加齢による体力の低下や認知機能の低下とどのような関係があるのかを学びます。また、近年問題となっている認知症高齢者への支援方法や介護問題について、作業療法士が担う役割について学びます。
日本医療科学大学では、対象者の自立支援に関わる諸理論および実践技能を学び、主に身体障害、精神障害、発達障害、老年期障害といった領域で作業療法を行っていく上での専門的能力が高まるよう指導していきます。作業療法の専門性は幅広く、最近では、代償(疾患により失われた身体機能の代わりとなる医療福祉機器の活用)という考え方が重要性を増しています。対象者の生活環境の中では、ロボットアームやリフト、車椅子などの機器を用いた支援法が有効であることが分かってきました。日本医療科学大学では、このような機器(AT:アシスティブ・テクノロジー)を用いた支援法を実践できる作業療法士の養成にも力を入れています。

取得可能資格

作業療法士(国家試験受験資格)

活躍のステージ

大学病院、総合病院、地域リハビリテーションセンター、精神・神経科病院、小児病院、保健所、保健センター、精神保健センター、介護老人保健施設、介護老人福祉施設、在宅介護支援センター、教育・研究機関、自助具・福祉機器関連企業 など

履修の流れ・カリキュラム
履修の流れ
カリキュラム
学びの特色と実習内容
学びの特色
障害のある方の自立支援と生活支援を行うため、リハビリテーション医学をはじめとする専門的な知識と技術を身につけます。また身体だけでなく、精神に障害をもつ方のサポートも行えるよう、精神医学や臨床心理学も併せて学びます。本専攻の大きな特色は、世界基準を満たす時間数で構成された内容で臨床実習が充実していることです。1・2年次に「見学実習」を行い、3年次から病院や施設での臨床実習を取り入れ、しっかりと作業療法の技術を修得します。また、医療人としてのマナーを修得するために必要な一般教養も「基礎教育科目」で養います。加えて、これからの作業療法士として学ぶ必要性の高い、地域作業療法やチーム医療に関する科目も開設しています。
授業風景動画
実習内容
作業療法学専攻の臨床実習例
専門の臨床実習指導者のもとで、臨床実習を行います。
主な科目
作業療法学見学実習I
学内で学んだ作業療法の基礎知識を基に、病院・施設での見学実習を通してリハビリテーションの位置づけや各医療スタッフの業務内容・連携、また作業療法の具体的な業務を学修し、今後の授業に活用します。
作業療法学見学実習II
精神科病院や精神科施設において、学内で学んだ作業療法の基礎知識を基に、精神障害患者様や医療スタッフとのかかわり、精神科特有の業務内容、精神科作業療法の連携を見学・学修し、今後の総合臨床実習に活用します。
作業療法評価学臨床実習
病院や施設で、臨床実習指導者のもと、対象者に対する一連の評価を実施します。
作業療法学総合臨床実習I
病院や施設で、臨床実習指導者のもと、対象者に対する一連の評価を実施して、治療計画を立案し、作業療法の実践とその効果に関する検討を行い、作業療法の技術・能力を身につけます。
作業療法学総合臨床実習II
総合臨床実習Ⅰの成果を踏まえて、さらに作業療法の技術・能力の向上を図ります。具体的には、病院や施設で、治療計画を立案し、作業療法の実践とその効果に関する検討を行い、作業療法の技術・能力をしっかり修得します。
作業療法学専攻の年次別臨床実習
年次 前期 後期 目的/方法 時間
(単位)
1年次   見学実習I 目的:①障害者と向き合う方法と支援するスタッフの活動を通して、障害者とチーム医療リハビリテーションの意義を学修する。
②各施設の役割、作業療法及び作業療法士の役割と機能、諸施設や機器の使用目的等を理解する。
③1年次より実施することで、今後の学修意欲の向上と将来像構築の一助とする。

方法:医療機関、リハビリテーションセンター、長期療養型介護施設、介護老人保健施設・特別養護老人ホーム、福祉施設などにグループ編成し見学実習する。
45時間(1単位)
2年次   見学実習II 目的:①精神障害者と向き合う方法と支援するスタッフの活動を通して、精神障害リハビリテーションについて学修する。
②各施設の役割、作業療法および作業療法士の役割と機能、精神科作業療法の流れや精神科デイケアの利用目的を理解する。
③総合臨床実習前に実施することで、精神障害領域の臨床実習に向けた知識と技術を確認する。

方法:埼玉県や近県の精神科病院や精神科施設において見学実習する。
45時間(1単位)
3年次   評価実習 目的:臨床実習指導者の指導監督のもと、個々の症例が有する問題解決のため、情報の収集、評価の計画と実践、問題点の分析と目標の設定など、基本的な作業療法の過程を修得する。

方法:埼玉県内をはじめ関東甲信越を中心とした実習施設で実施する。 臨床実習指導者の指導監督のもと、作業療法評価を重点的に実習する。
180時間(4単位)
総合臨床実習I 目的:臨床実習指導者の指導監督のもと、個々の症例に即した疾患と障害の把握、評価の実施と問題点の分析、目標の設定、治療の計画と実施、変化に対する適切な治療内容の変更、経過および治療結果に対する考察など患者様を通してしか学べない実践能力を養う。
作業療法士として必要なものの見方、判断力と行動力、基本的な治療技術と問題解決能力を修得する。

方法:埼玉県内をはじめ関東甲信越を中心とした実習施設で実施する。
臨床実習指導者の指導監督のもと、作業療法評価を行い、問題点の抽出、目標設定、治療計画立案と基本的な治療方法を実習する。
360時間(8単位)
4年次 総合臨床学実習II 目的:臨床実習指導者の指導監督のもと、個々の症例に即した疾患と障害の把握、評価の実施と問題点の分析、目標の設定、治療の計画と実施、変化に対する適切な治療内容の変更、経過および治療結果に対する考察など患者様を通してしか学べない実践能力を養う。
作業療法士として必要なものの見方、判断力と行動力、基本的な治療技術と問題解決能力を修得する。

方法:埼玉県内をはじめ関東甲信越を中心とした実習施設で実施する。
臨床実習指導者の指導監督のもと、作業療法評価から治療までの総合的に作業療法を実践する。
360時間(8単位)
見学実習Ⅲ 目的:訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションを実施している医療提供施設の見学を通じ、作業療法士の役割と具体的な業務、関わる職種との連携について学ぶ。

方法:埼玉県や近県の実習施設において見学実習する。
45時間(1単位)

設備機器
浴室シミュレーション装置
実際の浴室の環境を想定し、手すりの高さなどを調整することができる装置です。
和式日常生活活動実習室
日本の家屋には和室があり、多くの人が生活のなかで使用します。和室の環境特性に応じた日常生活動作につて学びます。
各種車椅子
車椅子を使用する人各々の身体寸法や使用用途に合わせて調整できる車椅子が多数あります。
昇降キッチン
使用する方の身体や使用方法に合わせて高さを調整することができるキッチンです。
天井走行式リフト
ベッドと車椅子などの乗り移りの際に使用します。介助者の身体的な負担を軽減します。
トイレシミュレーション装置
実際のトイレの環境を想定し、便座や手すりの高さを調整することができる装置です。
在学生インタビュー
在学生インタビュー

自信を持って
治療をすることができる
作業療法士になるのが目標です。

リハビリテーション学科・作業療法学専攻 3年
埼玉県立ふじみ野高等学校 出身

I.H.

日本医療科学大学に入学した理由ときっかけを教えてください
母が看護師で医療現場に関する話をよく聞いていました。医師には自立した生活が難しいと判断された患者様をリハビリテーションを通して治療をし、自立へと導いたという話を母から聞き、衝撃を受けたのが作業療法士を目指すきっかけでした。いろいろな大学のオープンキャンパスに足を運びましたが、日本医療科学大学の個性豊かな先生たちや学生の楽しそうな雰囲気が大学を選ぶ決め手となりました。
作業療法学専攻の魅力を教えてください
同じ志を持つ仲間たちや熱心に教育をしてくださる先生がいるのが一番の魅力です。
最も印象に残っている授業(実習)とその内容を教えてください
最も印象に残っている授業は解剖学Ⅰです。授業の進行スピードが高校時代とは別次元だったのが印象的でした。勉強が大変だと感じることもありましたが、先生や仲間たちのサポートもあり、乗り越えることができました。
授業(実習)の中で苦労したこと、そこから学んだことがあれば教えてください
高校の時よりも授業の難易度が上がり、覚えることの多さに苦労しました。1年次の基礎的な勉強をしっかりと覚えることで、2年次の勉強がスムーズに進めることができました。
将来の目標を教えてください。また、目標のために現在頑張っていることは何ですか︖
自信を持って治療をすることができる作業療法士になるのが目標です。目標を達成するために、現状に満足せず常に向上する気持ちを持っております。
専攻長挨拶
専攻長

豊かな教養と専門知識、そして人間力を養い、地域社会に貢献できる作業療法士を育成します

作業療法学専攻長

本田 豊 教授

作業療法の治療は、クライアントやそのご家族とよく話し合い、クライアントにとって何が一番必要なことなのかを理解するところからスタートし、共にゴールを目指します。そして関連職種と連携してチームでクライアントの問題を解決していきます。したがって、豊かな教養と専門知識を基盤として、人間関係を大切にすること、そして社会人としての礼儀や常識を心得ているとともに、思いやりや共感の気持ちを適切に表現できるように成長することを目指します。充実した講義、実習、レポート、試験、そしてユニークな教員と過ごす多くの時間を通じて、地域社会に貢献できる専門知識と人間力を養います。
世界作業療法士連盟(WFOT)認定校
本学作業療法学専攻は、世界作業療法士連盟(World Federation of Occupational Therapists)認定校です。
WFOT及び日本作業療法士協会が定めている作業療法士の教育水準を満たしていることが認められていることを示します。
WFOT認定校を卒業すると、海外で作業療法士として働きたい場合でも、必要な教育課程を修了していることが認められます。